院長のコラム
日頃いろいろと考えていること
病理1
2022年7月 肝臓の組織について
1)肝小葉
肝臓は、肝小葉という直径1mm、長さ2mmほどの多角柱が集まってできています。ですから、肝小葉は肝臓の基本的な組織構造であり、機能的・構造的単位となっていますが、とっても小さいので、肉眼ではかろうじて見える程度です。それぞれの肝小葉は、肝門からつながる腹膜の繊維性結合組織である小葉間結合組織によってくっつけられています。
ここで、繊維性結合組織とは、膠原繊維など細胞成分を含まないものを指し、そのうち小葉間組織とは、肝小葉と肝小葉の間にある薄い膜のことをいいます。
肝小葉の中心部には中心静脈があって、そこを中心として放射状に、肝細胞が向かい合わせにびっしりと並んだ構造の肝策が並んでいます。
そして、肝策と肝策の隙間には特殊な毛細血管である類洞が存在していて、栄養分などを供給しています。
2)小葉間結合組織
肝臓については、小葉間結合組織のことをグリソン鞘と呼び、私たちヒトの場合はあまり発達していません。数個の肝小葉が接し、小葉間静脈、小葉間動脈、小葉間胆管という重要な管が集まっている場所は、特に 「三つ組」 と呼ばれます。その重要な管にはそれぞれ、
小葉間静脈には、門脈の血液が流れていて、消化管で吸収された栄養が
たくさん入っています。
小葉間動脈には、肝動脈の血液が流れていて、酸素がたくさん入っています。
小葉間胆管は、組織としては単層円柱上皮というもので、肝細胞で作ら
れた胆汁が流れています。ここでは肝細胞側から三つ組へと胆汁が流
れているので、血液の流れとは逆になっています。
3)肝策
肝策とは、肝細胞策のことであり、肝細胞が互いに向かい合わせに並んで結合した部分をいいます。その隙間には毛細胆管が存在していて、ここに肝細胞から胆汁が分泌されます。毛細胆管自体はとっても細いので、私たちが普段使っているような光学顕微鏡では見ることができません。
4)類洞
類洞とは洞様血管のことであり、肝臓の毛細血管のことです。類洞では小葉間静脈と小葉間動脈の血液が混ざって中心静脈まで流れていきます。色んな物質を産生する働き者の肝細胞は、小葉間静脈を流れていた血液に含まれる栄養を取り込んで代謝しています。類洞の血液の混ざり方は、小葉間静脈の血液が8割、小葉間動脈の血液が2割の比になっています。
類洞には平らな核で細胞質の見えない内皮細胞や、丸い核で細胞質がはっきり見えるクッパー星細胞などの細網内皮系の細胞があります。細網内皮系細胞は、マクロファージやクッパー星細胞などの組織球や細網細胞などのように、体内で細菌、老廃物、異物などをムシャムシャと貪食している細胞をいいます。
また、内皮細胞と肝細胞の間には、電子顕微鏡でしか見えないディッセ腔があり、脂肪摂取細胞と伊東細胞が存在しています。
2021年 8月
新型コロナ感染症の拡大が心配ですね。もともと当院では感染症対策をしっかり行っていますが、改めて、より留意しなければならないと思っています。換気はもちろんのこと、患者のみなさんが触れるものについて、より一層除菌を徹底していきたいと考えています。
2021年 6月
大リーグ大谷選手の活躍は凄いですね。これまでの常識をくつがえす素晴らしい成績です。恐らく、ご本人は地道な努力を積み重ねて来たのでしょう。テレビで見ているだけで、気持ちを奮い立たされる思いです。